神戸地方裁判所 昭和42年(ヨ)72号 判決 1970年11月11日
債権者 栗須義久 外五名
債務者 ユニヴァーサルタクシー株式会社
主文
一 債務者は債権者らをその従業員として取り扱い、かつ
1 債権者栗須義久に対し、昭和四一年九月一九日以降一か月三万六〇〇〇円
2 債権者西啓幸に対し、昭和四一年九月一九日以降一か月四万九一四〇円
3 債権者高見一郎に対し、昭和四一年九月一九日以降一か月一万六三二六円
4 債権者大北武に対し、昭和四一年九月一九日以降一か月四万一四三〇円
5 債権者西川茂人に対し、昭和四一年八月一八日以降一か月四万六四三七円
6 債権者船越二三男に対し、昭和四一年一〇月一日以降一か月二万六八〇六円
の各割合による金員を、いずれも毎月二五日限り、本案判決確定に至るまで仮りに支払え。
二 申請費用は債務者の負担とする。
事実
第一当事者双方の求める裁判
一 債権者ら
債権者栗須義久について一か月の給付額を三万六〇三〇円、同西啓幸についてのそれを四万九一七〇円、同船越二三男について給付の始期を昭和四一年九月三〇日とするほか主文第一、二項と同旨の判決。
二 債務者
(一) 債権者らの申請をいずれも却下する。
(二) 申請費用は債権者らの負担とする。
第二債権者らの申請の理由
一 債権者らはいずれもタクシー業を営む債務者に雇われ、タクシー運転業務に従事していたもので、債権者栗須はユニヴアーサルタクシー労働組合(以下組合という)の執行委員長、同西は書記長、同高見、大北は執行委員、同船越はその組合員であつた。
二 組合は昭和四一年五月ごろから夏期一時金をめぐつて債務者と種々交渉したが、妥結をみなかつたので、その要求貫徹のため、同年七月から九月にかけて納金ストを含む争議行為をした。
三 債務者は債権者栗須、西、高見、大北らが組合役員として走行料金費消横領、会社幹部に対する暴行傷害、および納金拒否の違法ストを指令したとして昭和四一年九月一九日同人らを懲戒解雇し、同年八月一八日債権者西川を解約権留保の約定若しくは経歴詐称を理由として解雇し、同年一〇月一日債権者船越を二重就労を理由として予告解雇した。
四 しかし右解雇はいずれも争議行為において積極的に活動した債権者らを嫌悪してなされたもので無効である。
五 債務者会社においては従来非組合員に対する一時金の支払は組合との交渉妥結後にされるのが慣行であつたのに、昭和四一年度においてはこれを破り交渉のさなかに内金として非組合員に三万円の支払をした。
そこで組合は債務者に抗議するとともに、生活の逼迫した組合員に対し、その日のタクシー走行料金から各自三万円を限度として給料の前借をするよう指令し、これを実行して会社に対抗した。
これは債務者に給料前借金証を差入れて行う前借金制度を利用したに過ぎず、費消横領を指令したことにはならない。
六 債務者は右賃金前借が着服横領になるといい、同年七月二五日に至り、前借金証の受領を拒否した。
そこで組合員らは同日午前八時一〇分ごろ、本社二階事務所において、債務者側にその釈明を求めるとともに、非組合員のみに対してなされた一時金支給につき債務者に抗議をした。
ところが債務者は職制を使つて組合員に暴行を加えて傷害を負わせながら、かえつて現場にいなかつた債権者大北、高見までこれに引入れ、組合指令により組合員が会社幹部らに暴行したと事実を捏造した。
七 組合は同年八月三一日の臨時大会において、運転業務中納金業務のみを拒否するいわゆる納金ストを同年九月一日から実施することを決議し、債務者に対し、組合員の走行料金を組合の執行委員長である債権者栗須が会社のため、兵庫県労働金庫に預金して保管する旨通告し、ストに突入した。
従つて右のストは正当な争議行為である。
八 債務者は債権者西川が組合に加入することを嫌悪して解雇した。
同人は昭和四一年六月一六日、特別の事情がない限り何らの意思表示を要せず、本採用されるという趣旨の試用期間を二か月として債務者に雇われたものである。
西川は申請外神姫タクシー株式会社の自主養成運転手であるが、入社の際これを履歴書に記載しなかつたことを理由に解雇はできない。
一般にタクシー運転手は勤務先をかえることが多く、わずか数か月にすぎない勤務経歴をいちいち履歴書に記入するようなことは通常しないことであり、仮りにこれを記入しなかつたとしても解雇をもつてしなければならないほど重大な事由とはいえない。
九 債権者船越が昭和四一年九月一九日から同年一一月二二日までの間、一六回申請外神戸自動車交通株式会社で稼働したところ、債務者はこれを理由に同人を解雇したが、債務者の真意は一人でも組合員をへらし、組合の団結をくずそうとするものであつて右解雇は無効である。
一〇 しかるに債務者会社は前記のとおり債権者らを解雇したと称してその従業員たる地位を争い、さらに、右解雇当時の一か月の平均賃金は債権者栗須三万六〇三〇円、西四万九一七〇円、高見一万六三二六円、大北四万一四三〇円、西川四万六四三七円、船越二万六八〇六円で支払期日はいずれも毎月二五日であるが、債務者会社はその支払いをしない。
一一 債権者らは右解雇無効確認等の訴を提起すべく準備中であるが、いずれも賃金のみで生活を維持している者であり本案判決の確定をまつていては、その間に回復し難い損害を生ずる。
第三債務者の答弁および主張
一 申請の理由一ないし三(但し西川を解雇した日を除く)の各事実は認める。
二 債権者栗須、西、大北、高見ら組合執行部は会社の承諾なく走行料金を個人費消するよう指令したものであるから就業規則第二五条五、六号の懲戒解雇事由に該当する。
三 債務者が職制を使つて暴行したことはない。
暴行を加えたのは債権者栗須らである。すなわち、中華民国の国籍を有する代表取締役許必達に対し、「日本に住む資格がない、台湾に帰れ。」等と暴言をはいた申請外松浦稔を会社の事故係員が制止したところ、債権者栗須、西、大北、高見らおよび同席の約三〇名の組合員は共謀のうえ、申請外浅羽和也、梁順国、梁順明ら会社幹部の胸ぐらをつかんで押し倒さんとしたり、足蹴りにする等の暴行を加えたため終日不穏な形勢となり、同事務所において事務をとることが不可能となり、会社業務は著しく阻害された。
右は就業規則第二五条一号の懲戒解雇事由に該当する。
四 組合のなした納金ストは違法である。
労使の主張する一時金の差は些細であるにもかかわらず八月三一日から九月三〇日に至る間約三〇〇万円余を抑留した点を捉えても、このストが争議行為の限界を逸脱した違法のものであることが明らかである。
五 債権者西川を雇入れたのは昭和四一年六月二一日であり、二か月は試用期間ではない。二か月の雇用期間中は何時解雇されても異議なき旨の約定存し、債務者は右約旨に従つてその期間中である同年八月一五日付で債権者西川を解雇したものである。
仮りに右解雇が許されないとしても、同業他社の自主養成運転手であることは重要な経歴で、西川がこれを履歴書に記入しなかつたことは就業規則第二五条二号の懲戒解雇事由に該当する。
六 債権者船越の二重就業は就業規則第一〇条に違反し、同第二五条一一号の懲戒解雇事由に該当する。
七 平均賃金に関する債権者ら主張事実中債権者栗須、西、西川の平均賃金額の点を否認し、その余の事実はこれを認める。栗須の平均賃金は三万六〇〇〇円、西は四万九一四〇円、西川は三万五一三〇円である。
八 本件仮処分申請は保全の必要性がない。
すなわち、債権者栗須、西、西川、高見はともに申請外菊花交通株式会社や阪神タクシー株式会社あるいは明交タクシー株式会社などにそれぞれ勤務し、また債権者大北は商品配達の請負業を、債権者船越は飲食店をそれぞれ営み、いずれも相当の収入を得ている。
第四証拠関係<省略>
理由
第一 申請の理由一ないし三記載の事実はいずれも当事者間に争いがない。
第二 まず債権者栗須、西、高見、大北に対する解雇の効力について検討する。
一 走行料金の無断使用について。
右債権者ら四名は組合執行部として、組合員に対し三万円を限度として各自の走行料金から前借するよう組合指令を出し、組合員がこれを実行したことは当事者間に争いがなく、債権者らは右は従前から認められている前借金制度の利用を指令したに過ぎず、費消横領に当らないと主張するのでこの点につき判断する。
成立に争いのない甲第一四号証の一ないし三〇、乙第三号証の一、証人藤川十一の証言、同矢部晴三の証言(後記信用しない部分を除く)、債権者栗須、債務者代表者の各本人尋問の結果を総合すると、つぎの事実を認めることができる。
従来債務者会社においては、従業員が給料の前借をする場合、毎日の走行料金からその必要に応じて、事務所に常時備え付けられた「給料前払金(未収入金)証」に所定の事項を記入し、現金の内訳明細書と一緒に納金袋に入れるだけで、何ら事前に会社の承諾を得ることなく金銭を借りられる制度が行われていたこと、そして右制度を利用するのは運転手が昼食代金とかお茶代とかに使用する二〇〇円から五〇〇円程度の前借が比較的多かつたけれども、会社としては特段金額の上限を画していたわけではなく、生活費として五〇〇〇円ないし一万円位を借りる者もしばしばあつたこと、会社としては前借額が当人の給料を上まわるような場合とか、会社の経理の都合などによつては前借について注意を与えるようなこともないではなかつたが、かなり自由に利用することを認めており、約七、八割の従業員がこれを利用していたこと、ところで、組合員がなした前記前借は、夏期一時金の支給も遅延しており、その支給の見通しもたつていない状態であつた事情もあり、右前借金制度を利用するように組合指令を出し、組合員各自において三万円を限度としてその必要に応じて前借したこと、会社はこれに対し前借した組合員およびその家族に対し警告を発したが、右記前借金証を引き揚げるようなことはせず、依然としてこれを利用することができる状態にあつたこと、さらに右前借金はその後夏期一時金が支給された同年八月二三日一部の者はその場で会社に弁済し、会社もこれを異議なく受領したこと、その余の者についても翌二四日全額弁済の提供をなしたが、会社は急に態度を変え、これらに対しては始末書を差し入れなければ受領しないと主張してその受領を拒否したため、未だ弁済未了となつているが、それらの分は全額組合が保管し、いつでも弁済できる状態にあること、以上の事実を認めることができ、前顕証人矢部、証人梁順明の各証言中には、前借は五〇〇円ぐらいが限度であり、それを超えるような場合には社長の事前の承諾が必要であつた旨の供述部分があるが、前顕証人藤川の証言と対比してにわかに信用することができず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。
右事実によれば、債権者栗須、西、高見、大北ら四名は従来会社によつて認められていた前借金制度を利用するように指示したに過ぎず、会社の警告に従わなかつたからとて債務者主張のような無断着服とはとおていいい得ないのであつて、これを理由として同人らを解雇することは許されない。
二 七月二五日の暴行行為等について。
前顕証人藤川、同矢部、同梁の各証言、債務者代表者の本人尋問の結果を総合すると、つぎの事実を認めることができる。
債権者大北、高見を除く組合執行委員四名と組合員数名は七月二五日午前八時過ぎごろ、さきの前借金問題に対する会社の措置に抗議するとともに、一時金をめぐつて誠意ある団体交渉を要求するため会社事務所に至り、会社代表者ら幹部にその旨要求していたところ、他の組合員ら二〇名位もこれに加わり、会社幹部らとの間ではげしい口論、こぜりあいがあつて組合員数名が軽い負傷をしたりなどし、さらに組合員である申請外松補稔において「社長は台湾に帰れ、日本で商売する資格はない」などの発言があつて双方ともかなりエキサイトする場面があり、同日正午ごろまで事務所内での業務執行は不可能となつたことが認められ債権者ら四名が共謀して組織的にしたものであるとの証拠もなく右認定に反する証拠はない。
そうだとすると、右行為に参加しなかつた債権者高見、大北はもちろんのこと、これに参加した債権者栗須、西についても組合幹部としての責任を問うことはできないというべく、このことを理由としてなされた本件解雇は無効である。
三 納金ストについて。
組合が昭和四一年の一時金をめぐつて、組合員運転手が走行料金を会社に納付する業務を拒否し、いわゆる納金ストを実施したことは当事者間に争いがない。
ところで本件の場合右納金ストは一種の部分ストであるからそれ自体としては争議権行使の一態様として何ら違法なものとはいえない。
しかし納金ストは一面、その走行料金が一時的に組合の手に抑留されることになるから、組合としては会社のために最も確実かつ安全な方法で保管する義務があるというべく、右保管の確実性、安全性が担保される限り、正当な争議行為と解するのが相当である。
そこで右の観点にたつて本件納金ストの正当性について検討する。
成立に争いのない甲第一〇号証および債権者栗須本人尋問の結果によりいずれも真正に成立したものと認められる甲第四、五号証、同第一五号証、同第一六号証の一ないし二九、ならびに前顕証人藤川、同矢部の各証言、債権者栗須、債務者代表者の各本人尋問の結果を総合すると、争議中の走行料金の保管は債権者栗須がそのための専従役員として集計および兵庫県労働金庫への預金事務を担当し、すべて右金庫にその都度預金し確実安全を期し、右期間中組合において一切これを使用していないこと、さらに争議が一応収束したのちには元利を含めた全額三一一万四、二二三円を会社に納金していること、以上の事実を認めることができ、右認定を左右するに足りる証拠はない。
そうすると、右納金ストは前説示にてらし、組合の正当な争議行為というべきである。
債務者は、右納金ストは争議権の限界を逸脱した違法のものであると主張するが本件争議行為は純然たる経済闘争であり、スト解除後納金が若干遅延したからといつて、このことからただちに右ストが争議権を濫用したものとはとおていいえず、右主張は採用できない。
してみれば、債務者が債権者栗須、西、高見、大北ら四名を組合執行部員として右納金ストを企画実行したとの理由で懲戒解雇することは許されず、本件解雇は無効である。
第三 債権者西川について。
一 まず債務者は、西川は雇用期間を二か月と限り、しかも右期間中何時解雇されても異議のないことを条件として雇入れたものである旨主張するので判断する。
成立に争いのない乙第一号証の一(雇傭契約書)には、雇用期間は二か月とし、その間何時解雇されても異議がない旨不動文字で印刷されていることが明らかであるところ、前顕証人矢部、証人長畑文男の各証言、および債権者西川本人尋問の結果を総合すれば、会社においては従来従業員を雇入れる際には一律に右形式の書面を使用し、同書面に記載された二か月の期間をいわゆる試用期間として、その間勤務成績不良等特段の事情により解雇されない限り、本採用となる取り扱いがなされていたこと、したがつて西川も入社の際前掲契約書を差し入れたけれども試用期間を二か月として雇われたと認めることができ、これに反する証拠はない。
そうだとすると右文言を証拠とし、右期間中であるという理由のみでなされた本件解雇は無効である。
二 つぎに債務者は西川が経歴を詐称し入社した旨主張するのでこの点につき判断する。
西川が申請外神姫タクシー株式会社のいわゆる自主養成運転手であつたこと、および同人が履歴書にその旨記載しなかつたことは当事者間に争いがない。
しかしながら債権者西川本人尋問の結果によれば、入社面接の際、西川から前記会社の自主養成運転手である旨申告を受けた債務者会社の村上岩屋営業所長はただちに前記神姫タクシー株式会社に電話でこのことを確かめ、自社で雇用するにつき同社の了解を得たこと、そして西川に対し特に履歴書にその旨を記入しなくてもよいとの指示を与えたことを認めることができ、右認定に反する証拠はない。
そうだとすると、この点についての債務者の主張は理由がなく、西川に対してなした解雇の意思表示は何ら解雇事由がないのになされたものであつて無効である。
第四 債権者船越について。
債権者船越が債務者会社に在籍のまま同業他社に運転手として勤務していたことは当事者間に争いがない。
成立に争いのない乙第四号証の就業規則第一〇条には、「会社の命令又は許可を受けないで在籍のまま他の会社及び事業に従事したり労務公職についてはいけない」旨、さらに同第二五条一一号には、「就業に関する法令又は規則に違反したもの」を懲戒解雇する旨規定されていることが明らかであり、前認定の船越の行為は一応右条項に該当する。
しかしながら前顕証人矢部の証言、債務者代表者本人尋問の結果ならびに弁論の全趣旨を総合すると、組合員は休日あるいは非番の日には他社に臨時運転手として勤務し収入を補うようなことがなかば公然と行われ、会社においても当時これを黙認し、特に注意を促すようなこともなく、また会社自らもこうしたいわゆる臨時運転手を雇入れて使用していたことが認められ、これに反する証拠はない。
右事実を総合勘案すると、従来の会社の取扱いにかんがみ債務者の本件解雇は社会通念にてらして著しく重きに失し、解雇権の濫用であつて無効というべきである。
第五 以上のとおりであるとすると、債務者の債権者らに対する本件各解雇はすべて無効というべきであるから、債権者らは依然として債務者会社の従業員たる地位を保有し居るものといわなければならない。而して本件解雇当時債権者らが支給されていた平均賃金は、債権者高見、大北、船越についてはいずれも債権者主張のとおりで当事者間に争いがなく、同栗須については三万六〇〇〇円、同西については四万九一四〇円の限度で当事者間に争いがないが、本件全立証を仔細に検討してもその限度を越えて右各債権者ら主張にかかる平均賃金の支払を受けていたことを認めるに足りる証拠はないから、右両名の平均賃金は右争いのない限度というべく、さらに、成立に争いのない甲第二四号証によると債権者西川のそれは四万六四三七円と認められ、これに反する証拠はない。
そうして、債務者代表者本人尋問の結果によると会社での賃金支払期日は毎月二五日であることが認められる。
そこですすんで本件仮処分の必要性について判断するに、債権者らは運転手としてタクシーに乗務する労働者であつて反証のない限り会社から支給される賃金のみによつて生活を維持しているものと推認され、会社から従業員として就労することを拒否され、本案判決確定に至るまで賃金の支払を受けられない場合には生活の困窮等回復し難い損害をこうむるものというべく、仮処分の必要性が認められる。
債務者は、債権者らは本件解雇後それぞれ運転手として同業他社に就労し、あるいは自家営業をなし相当の収入を得ているので本件仮処分の必要性を欠く旨主張するが、債権者栗須、同西川の各本人尋問の結果および弁論の全趣旨によれば、債権者らが他社等で稼働していた事実は認め得るもいずれも臨時的な仕事にすぎないことを認定し得べく本件仮処分の必要性を否定することはできない。
第六 結論
よつて債権者らの本件仮処分申請は、原職復帰およびいずれも本件解雇の日以降本案判決確定に至るまで一か月につき前認定の平均賃金額の割合による金員を毎月二五日限り各支払を求める限度において理由があるから、保証をたてさせないでこれを認容し、申請費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 関護 岩川清 田中観一郎)